はじめに

「北海道における主要死因の概要」は、この巻で第9巻目となります。

1982年(昭和57年)から1989年(平成元年)までの8年間を対象とした第1巻から、 2006年(平成18年)から2015年(平成27年)までを対象とした本巻までで、 30年以上に渡る本道の主要な死因の状況を、全国平均の死亡率を100とした標準化死亡比(SMR)として報告してきたことになります。

食生活や喫煙などの日本人の生活習慣は、戦後70年以上の間、大きく変化しており、 生活習慣病が大きなウェイトを占めている各種死因の消長に影響を与えています。戦後のわが国における死因順位をみると、 終戦直後には結核が首位だったのが、数年の後に脳血管疾患に取って代わられ、さらに1981年(昭和56年)には悪性新生物が首位となって、 その後もその粗死亡率はほぼ単調に増加しているなど、大きな変化がみられます。一方で、平均寿命も、この間、男女ともほぼ単調に増加していることから、 生活習慣、特に食習慣の変化によって脳血管疾患などの疾患に罹りにくくなり、同時に治療の進歩によりこれらが克服されて寿命が延伸した結果、 中高年において好発する悪性新生物へ死因がシフトした可能性は否定できません。

この第9巻では、新機軸として、これまでの巻で報告してきた疾患の北海道全体としてのSMRの変化をグラフに表示しました。 隣接する巻の間には3年または4年の重複があること、また北海道の死因が減少していても、全国平均が同じように減少していれば、SMRの値は変わらないこと、 などに留意されつつ、ここ30年以上に渡る、全国平均からみた北海道民の死亡率の相対的な変化を汲み取っていただければと考えています。 また、各自治体・各保健所におかれましては、各種保健施策の立案の際、各種疾患による死亡の状況を把握することは欠かせないことから、これまでと同様、本書を活用していただければ幸いです。

平成28年12月

三宅浩次

西 基